「「挑戦を諦めない」DeNA南場会長の反省と覚悟」を読んで

コンテンツマーケティングにかかわる一人として、DeNAさんがWELQMERYで起こった問題をどう捉えていて、事業としてどう立て直していくか、ということに興味を持っていました。その観点で、10/11付で日経ビジネスに掲載された南場さんのインタビューを読んだ感想をまとめておきたいと思います。

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WELQMERYなどキュレーション事業に言及された部分のまとめ

  • キュレーション事業は、自社にケイパがなく継続するのは難しいので諦めた
  • 失敗した主要因は知識の欠如であり、メンバーに悪意はなかった
  • 南場さんの自社への自信・過信により暴走を止められなかった
  • 再発防止策は経営による監視強化、デライト中心主義の浸透、次世代リーダーの育成

大まかにまとめると上記4点になります。

 

キュレーション事業問題の主要因と事業継続について

インタビューを読む限りでは、今回の問題は「知識の欠如」であると記述されています。何の知識のことを指しているか明示されてはいないのですが、著作権法や薬機法など法令の知識と思われます。一方で、法務部門からは買収時に指摘されていたということ、経営陣から現場に対して黒をグレーに(そして白に)という指示を出していたとの記述から、問題はみんな知っていた、と考えるのが妥当です。つまり、知識の欠如ではなく、知ってたんだけどスルーし続けたということです。組織文化の問題です。

再発防止策として掲げられている施策からも、DeNAさんが組織文化・システムの問題と認識していることは、ある程度明らかだと思います。「デライト中心主義の浸透」は、ビジネスだけではなく顧客価値をしっかり考えようというメッセージですし、次世代リーダーの育成については問題をスルーし続けない仕組みの一つ、と考えられます。

また、事業継続に関しては、ファクトチェックや著作権確認の難易度が高いため、諦めるということでした。ここに関しては、そういったチェックが不要だけど「白」な方法(コラムニストを多く抱えるとか)、コストをかけてでもペイできるマネタイズを考える、などもう少し挑戦しがいのあるテーマがあると思うのですが、DeNAさんとしては諦めて、既存のケイパを持った会社(小学館)とパートナーを組むことにしたとのことです。ここで、何か一工夫あれば参考にしたかったので、ちょっと残念でした。

 

コンテンツマーケティング担当者としての学び

今回の記事を読んでの学びは、「細部にまでこだわり、根拠なく楽観視しない」ということなんだなと思いました。とくにリーダー的ポジションにいるのであれば、ランダムサンプリングでもいいから記事を読んだり、折を見て企画書や指示書をチェックしたり、外部のパートナーさんの自組織に対して思うことを聞いたり、などなど行動し続けることで、リーダーが期待している方向に組織文化が醸成されていくのではないかなと思いました。

売上やPVなど結果指標に偏ったコミュニケーションだけでは、今回のDeNAさんのような組織文化になっていってしまうのだろうと思います。

 

おまけ

こういうインタビューで「夫の死」を持ち出すのは、ずるいよなーと思いました。もちろん、心中察しきれないほどの話だとは思うのですが、それとこれとは別で切り離してもらいたかったなと思います。